皆さんこんにちは!
三友工務店設計の藤山悟です。
先日、日本構造デザイン賞に”三角港キャノピー”が選ばれたというニュースを見ましたので、
ちょっと三角の方まで足を伸ばしてきました。
三角港と言えば”海のピラミッド”(1990)ですね。
ただ、残念ながら三角⇌島原間のフェリーが廃止されたため、
”海のピラミッド”はすっかり波打ち際の貝殻のようになってしまいました。
子供の頃は中には土産物屋さんなどが入っていて、
とてもにぎわっていたような気がするのですが…
一時期は音楽のクラブハウスとして転用されていたようですが、
そちらも撤退されたそうで残念です。
こちらがお目当ての”三角港キャノピー”(2016)。
一見ただの通路の屋根のように見えますが、
柱が片側にだけしかありません!しかも屋根も薄いです。
とても不思議じゃありませんか?
普通の屋根ならば、厚みがもっと厚くなっているか、
柱の側面から屋根を支える”頬杖”が出てくるか、
柱が屋根面から突き出て屋根の端を引っ張るケーブルのようなものが現れるはずですが、
そうなっていないんですね。
すっきり伸びやかな形にまとめられていてとても美しいです。
夜は付根の部分が光るようです。
照明も構造と一体にデザインされていてよいですね。
こちらは、すぐそばの”熊本県漁業取締事務所”(1998)。
お休みなのか、せっかく通り抜けできるような作りなのに、全く入れなかったのは残念でした。
ちなみにぼくはお隣の漁業協同組合の建物が気に入りました。
いつ頃の建物かは全く不明ですが、
高い天井面まである窓から入ってくる日射を遮るためのルーバーが、
軒先にぶら下がっているのがかわいらしいです。
こちらは”石打ダム資料館”(1993)
こちらの建物も日本構造デザイン賞の前進の松井源吾賞に選ばれたことがあるようです。
設計者の入江経一氏は藝大出身ですが、東工大の大学院に進学後、
熊本北署を設計された篠原一男の研究室所属していたので、
初期の作品にはその影響が見てとれるので面白いです。
ちなみに手前のシリンダーは展望室。
ちょっと近未来っぽい!?
でも、什器の配色や形などは、とても90年代っぽいです(笑)
このようにダムの脇に立っています。
一番近い駅から歩いても15分以上かかります。
よっぽどのモノ好きしか来なさそうです(笑)
ちなみに、お隣の管理棟はリファイン建築で主に九州で活躍されている青木茂氏の設計なのですが、
無人の管理棟なので中には入れません。
ダムのおかげで今日も眼下の田畑は潤っているようです。
ハイ、出ました!こちらは全国のダニマムマニア垂涎のダムカード!
実はこのダムカード目当てで来られるお客さんもいらっしゃんるのだとか?
人間の数だけ十人十色の趣味があるものですね(笑)
とりあえず、この階段脇のポストがとてもかわいかったです。
こちらは“宇土マリーナ”(1998)です。
レストランや管理室の入ったメインの棟だけでなく、
船の整備のための修理庫や艇庫も一体となってデザインされています。
まるで学生の卒業設計みたいなプログラムです。うらやましいなぁ。
外装の板金は2色を交互に並べているので、板金屋さんに嫌われそうです(笑)。
それぞれ別の機能の詰まったボリュームが組み合わさることで、
多様な内外の空間を作っているところには好感が持てました。
レストランの下は通り抜けられるようになっていて、
一幅の絵画のようです。
防波堤がなければ尚いいんですが、そんなわけにはいかないですね(笑)
そして、せっかく眺望のよさそうなレストランは現在テナント募集中のようで残念でした。
ついつい長くなってしまいましたが、
最後に、前述の賞は熊本県下では”三角港キャノピー”と”石打ダム資料館”以外にも、
4つ程、選ばれているようです。
ただただ変わった形なだけではなく、
意匠と構造の関係が美しい建物というのにはとても惹かれものがあります。
みなさんも建物に入られた際は、どうやってこの屋根は支えられているんだろう?
などと興味を持たれると面白いかもしれません。