皆さんこんにちは、
三友工務店設計の藤山悟です。
“Bon Boyage!がHave a nice trip!よね?”と聞くと、
“それは、そうなんだけど、フランス人がどうするか知ってる?と聞かれ、
“あぁ、Salut!って言うんだっけ?”
“じゃなくて、こうすんの!”
と、左右の頬を合わせてチュッと音を鳴らされ、
33歳のおじさんが照れて”それなら知ってる…”と言った、ある晴れた朝。
雲一つない青い空の下、大通りのバス停で。
先日、フランスからお客さんがやってきました。
会社にではなく、個人的になのですが。
彼女はカンヌ生まれのパティシエで去年から10カ月日本で働いていたそうです。。
日本でのハードな労働環境に耐えたご褒美として、
最後に、北海道から鹿児島に飛び、今度は南から長崎まで北上した後、
別のフランスから来る初めて訪日する友達と東京まで東上して帰国するとのこと。
ものすごいタフな日程ですね。
なんでそんなに重いバックパックが背負えるのか信じられません。
最初はヒッチハイクで鹿児島から来るって言ってましたし…
最終的にはバスで来ましたが。
9歳離れたフランス人の若い女の子に好きなものを聞かれて、
“ダフト・パンク、ヴァネッサ・パラディ、フランス・ギャル、セルジュ・ゲンスブールが好きよ。”と答えたら、
“ほんとに!?私もフランス・ギャルめっちゃ好き!”って聞いた時には耳を疑いました。
ダフト・パンクはまだしも、フランス・ギャルやゲンスブールは、
日本人でも60代以上しか興味がない元アイドルのお婆さんとプロデューサーだと思っていました(笑)
ちなみにカンヌ生まれなのでヴァネッサ・パラディは近くで見かけたことあるそうです。
まぁ、太秦で北大路欣也を見かけるようなものでしょうか?
ぼくは見かけたことないですけど(笑)
“フランス人の建築家だとジャン・ヌーヴェルが好きなんだよね。”と言うと、
誰だかご存知ないみたいでしたが、“ターニング・トルソ”なら知ってると言われ、
そりゃカラトラヴァ(スペインの建築家)だろ、と思いながら、
まぁ、みなさん自国の芸能人以外の他業種の有名人なんて知らなくて当然なのかもしれません。
ちなみに初日の夜は本妙寺や繁華街を歩いたんですが、
何分雨だったので、とりあえず夕飯は外食することにしました。
上の裏の“弐の弐”の”汁餃子”がいたく気に入ったらしく、
2杯目注文しとった時はかなりびっくりしました(笑)
やっぱり、飲食関係の職業の方は食べ物がお好きなですね。
ちなみにその日は車で来たのですが、
お酒を飲むかどうか聞かれて、
“いやいや、捕まっちゃうよ。”と答えると、
“そーだった!フランスでは1、2杯は全然OKなんだよね。
北海道で友達とレンタカー借りて、居酒屋寄って、2人ともビール注文したら、店員にすごい怪訝な顔されたよ”
と笑い、“明日はアタシが作るよ。”と言ってくれました。
翌朝は小国方面へ向かいました。
生憎の雨だったので、外輪山上の道は予想通り全く前方が見通せない状態でした。
予定では草千里や大観望に寄って、夕方くらいに温泉入って帰れればいいかと思っていたのですが、
とりあえず黒川温泉に直行。
最初はあまり乗り気ではなかったけど、黒川に到着し、
入湯手形で3か所好きな温泉入れると聞くと彼女も俄然テンションが上がってくれました。
“熊本は馬刺しが有名だけど食べたことある?“と聞くと、
“馬好きだから、馬の肉は食べれない!”と言っていましたが、
昼食後、とある土産物屋で、髪の毛に食い物の匂いついたから、と言って、
棚に並んだ化粧水のスプレーを噴射していたのが、まさしく馬の油の成分を抽出したやつだったので、
“えっと、言いづらいんだけど、それ悲しいことに、馬由来の化粧水よ。“と指摘すると、
“えっ!?SAKURAって書いてあるのに?とても悲しい!”とびっくりしていました。
“馬肉のこと桜肉って言ったりするんよね。
多分、馬肉の色が桜の花の色に似とるからかね?知らんけど。”と説明すると、
“意味がわからん!”と憤慨されていました(笑)
彼女は総じて温泉には満足してくれました。
最後の温泉を出るときには空も晴れあがってくれて、
ぼく自身ゆっくり歩いて回ったのは初めてでしたので、とてもよかったです。
甘味処では甘いものを追加注文していて、やっぱり驚きました。
名物のシュークリームが完売してしまっていたので、
“来年絶対来なくちゃ!また、一緒に来よう!”
と彼女は言っていたのですが、ぼくはこの手の社交辞令がすごく嫌いなんですよね(笑)
しかし、黒川温泉は中国人やヨーロッパ系含めて結構な数の外国人の観光客が訪れるにも関わらず、
インフォメーションセンターで配られるペラペラの案内以外はほとんど外国語表記もなく、
スタッフの方も全然外国語対応じゃないのが勿体ないなと感じました。
一か所でも多言語対応のスタッフがお1人でもいらっしゃるだけで、
お客さんがわんさかいらっしゃるようになるのではないでしょうか?
最後の温泉から上がると、なんと空が晴れあがっており、
これ幸いとばかり大観望へ向かいました。
雨上がりなので、雲の下の風景がとてもドラマチックでした。
桃源郷とはかのようなものでしょうか?
上手く写真には収められないのでとても残念ですが…
とにかく帰り道中、ずっと空がキレイで、
キレイなもんを一緒に見てくれる友達もしくは知り合いがいてくれるのは有難いんですが、
正直、生涯の伴侶が欲しいなぁ、と思いました(笑)
帰り着くと、昨日の約束通り、
彼女が謎のパスタを作ってくれました。
一緒に必要な食材を買い物しているときに、
“これで全部!”とカゴの中身を見て言ったので、
“いやいや、パスタ忘れとるよ。”と指摘すると、
“フランスだとどの家にもパスタあるのが当たり前だから、わざわざ買うって発想がなかった!”
と言っていて、確かにそうかも、と思い驚きました。
人は慣れ親しんだ習慣から脱するのは難しいものですね(笑)
その日は珍しくワインを飲みました。
まぁ、ワイングラス何て洒落たものがなかったので、湯呑で飲みました(笑)
それで迎えた朝がbise初体験。
彼女は長崎へと旅立って行きました。
このバス停でも、時刻表に要予約などと書いてあって、ちょっとバタバタしました。
結果、空席があれば予約不要で乗れるのですが、
空港や各地を結んどる路線なのに、時刻表にはアルファベットも振っていませんし
英語のHPは分かりづらく、ちょっと残念でした。
まぁ、電話で問い合わせて事なきは得たのですが。
バブル崩壊後20年の時を経て、
おうちデートでフレンチディナーにbiseを添えて、
今回はさよなら、また今度。
ぼくが彼女の温泉付きパティスリーに行ける日が来るのは、
まだまだ先のことになりそうです(笑)