この「動的耐震計測」は、実際に建物を揺らして耐震性能を調べる調査方法です。
以前のコラムにも紹介しておりますが、実際の調査を経験しましたので改めて紹介させて
頂きます。
「動的耐震計測」というのは、小型振動機のゆれを利用して建物に小さな地震を起こし、
どのくらいの震度まで耐えられるか、具体的に測定できる方法です。
耐震診断などの机上の計算とは違って、実際に建物を揺らして測定しますので実態に近い
耐震性能が分かるのがメリットです。
具体的には、2階床に起震機を置き、東西南北の隅に4箇所のセンサーを取り付けます。
そして東西、南北方向にそれぞれ約20分程度起震機を使って揺らしてみて、取り付けたセ
ンサーのデータを解析して、建物の耐震性能を測るものです。
耐震診断などの机上の計算とは違って、実際に建物を揺らして測定しますので実態に近い
耐震性能が分かるのではないかと思います。
今回調査致しました住宅は2件。
〇 熊本市中央区の住宅。築1年、延べ床面積35坪、2階建てのお家です。
〇 益城町木山の住宅。築2年、延べ床面積43坪、2階建てのお家です。
震度7を2度受けた激震地に建つ住宅で、廻りはほとんど倒壊しています。
調査風景です。
建物の2階床の重心位置に起震機をセットします。
データを記録するパソコン
こんな感じで起震機が動き、建物の揺れを計測します。
建物の固有周期に共振すると、建物の揺れを体感することが出来ます。
地盤の固有周期を調べている所です。
地震で揺れやすい地盤かどうか分かります。
今回のデータを調査会社が持ち帰り検討して、報告書として1週間くらいで
当社に届きます。
当社では、その報告書を元に被災状況を確認し、耐震補強が必用であれば、
その方法などを検討する予定です。
「動的耐震計測」の特徴
〇 震度いくつの地震まで安全か?
従来の耐震計測では出来なかった「震度いくつの地震まで安全か」を表示することが出
来ます。
〇 建物のどこが悪いかハッキリわかる
地震時に弱いところがあるかどうかが分かり、この結果をもとに、耐震改修を行う必要
があるのか等の判断材料が得られます。
〇 耐震改修の効果もわかる!
耐震改修工事を行った場合、工事前・工事後に測定することでその効果を確認すること
が出来ます。
〇 地盤と建物相性もわかる!
地震時における地盤の揺れ方を測っておくことで、建物の揺れ方との相性を判断でき、
地震の時に揺れやすい家なのか、揺れにくい家なのか分かります。
〇 安全かつスピーディな調査
調査時に建物は震度1程度で揺れますが、建物が壊れたり、物が落ちたりといった心
配はありません。
また、調査中でも普通に生活していただけます。
地盤と建物を総合的に調査し、調査時間は平均で3時間程度と、短時間で終了します。