8月1日は当社の創業記念日です。
今年で創業68年となりました。
私が入社したのが35年前なので、
父が会社を興して33年目に私が入社し、それからまた35年が過ぎています。
ここ数年の内に息子も戻ってくる予定なので、同じサイクルで引き継ぎが進んでいくと思います。
家づくりで、いまでも思い出す「父の忘れられない一言」をご紹介します。
創業間もない頃の父の写真
かれこれ20年くらい前の話になるかと思いますが、
シックハウス問題が注目されるようになり、
家づくりの価値観が大きく変わっていった時代です。
工務店がシックハウス問題を受け、こぞって「自然素材住宅」に取り組みました。
当社も建築関連の仲間とネットワークを組み、
他社に先駆けて産直形式の自然素材住宅に取り組みました。
つくる住宅もシックハウスにならないような漆喰やイ草、和紙などの自然素材を使い、
柱・梁などの構造材も、そのまま現しにすることがほとんどでした。
その仲間達とつくった家を、父が初めて見たときの感想がいまでも忘れられません。
「まだ工事の終わっとらんとじゃ、なかつか?」
「何で見える柱や梁にこぎゃん節のある構造材ば使うとか。
見える場所には、化粧材と言われる、節のない年輪の詰まった材料ば使え!」
「おれは、こぎゃん家はいっちょん良かとおもわんばってん」
と感想を述べました。
私たちが自信を持ってつくった「自然素材の家」だけに、逆にその反応に驚きました。
父からすれば見えるところに節ありの構造材を使うなど考えられなかったのでしょう。
「まだ工事の終わっとらんとじゃ、なかつか?」の第一声がすべてを物語っています。
自分なりに良い家を造ってきたというプライドから、
こういった家は「安普請」に見えたのでしょうね。
確かに構造材を現しにしているので節があり、
無節の材料に比べれば見た目が綺麗ではありません。
しかし実際は、ほとんどの柱・梁が見えていますので、
傷をつけないように丁寧な仕事を要求され、大工さんの手間はかえってかかります。
父もその点は承知していましたが、
「見える柱・梁には節のない立派な材料を使うのがあたりまえ!」という
家へのこだわりが許さなかったのだと思います。
私は県外で建てられた自然素材の家を何件も見ていたので、
とくに何とも思いませんでしたが、初めて見た父は仰天したに違いありません。
工事がまだ終わっていないと勘違いするのも無理はないと思いました。
この時はどう返答して良いのか困りました。
シックハウス問題を受け、家づくりが大きく変わっていった時でした。
いまでも思い出す「父の忘れられない一言」です。
現在は、当時ほど節有りの材を表に出した家づくりは少なくなり、
ほどよい感じに木を使った住宅が多くなりました。
代わりに断熱、気密、換気などの省エネ性が求められるようになりました。
家づくりも日々進化しています。