借景した森の緑に映える黒い焼杉の家 繁緑の家

家づくりを具体的に考えはじめたのは2年前くらいです。土地は主人の実家の隣にあったので、問題はどこの会社で家を建てるのか。そんな時に偶然に見たテレビ番組で建築家の中村好文さんを紹介していて、私も中村好文さんが建てるような家に住みたいなと思いました。その流れから中村好文さんと関わりのある鹿児島のベガハウスさんを知り、ホームページやインスタグラムなどを見ると私のイメージに近い家を建てられていました。でも、ベガハウスさんの建築地は鹿児島県内のみ。もう理想の家を建てるのは無理なのかと諦めかけていたのですが、ベガハウスさんで設計を担当されていた幸野さんが熊本では三友工務店さんと提携しているとのことで紹介していただきました。

その後、三友工務店さんとは幸野さんをまじえて打ち合わせをしました。鹿児島のショーホーム、さらにベガハウスの提携会社である大分のシーナリーハウスのショーホームも見学に行きました。他社は検討していませんが、ここで間違いないと思いました。

ベースは「中村好文さんの家のように」。私も中村好文さんの本を読んで情報収集をしました。特にこだわったのは素材で、床や壁、造作家具など、どれも本物の木を使うこと。そして平屋。部屋数は多くなくていいので、広さよりも使いやすさ、住み心地の良さを優先させました。

設計は最初に提案していただいた案でほとんど決まりでした。それでも途中で何度も「本当にこれでいいの？」と迷いました。例えば、天井の高さ。提案してもらった天井は高すぎやしないか、もっと低い方が落ち着くのではないか、でも高い方が広がりが出るし…。こんな感じで、迷いだしたらきりがありません。家を建てた今でも、他所の家を見ると「こういうのもあったのか」と思うことがあります。

また、情報がたくさんありすぎて、新しものを見るとそっちの方が良く思えたり。納得して選んだものでも、それが自分たちの家に合うかどうかは出来てみないと分からないと言うのもあります。とにかく家の図面も見慣れていない素人なので、なかなか具体的なイメージがつかめません。私たちの好みを一番に優先してくれるのは有難いのですが、たくさんの素材から迷いなく選ぶのは至難の業。逆に専門家の見立てから「この中から選んでください」と提案してくれても良かったのではと思います。

また、主人は私の好きなようにすればいいと言ってくれたので、そのプレッシャーもあって一人で悩んでイライラしたりもしました。でも、終わってみれば本当に私の好きに家づくりが出来たので良かったです。ちなみに天井の高さは主人も「この高さで良かったね」と言ってくれました。

言いすぎるくらい要望を言いましたが、どれも丁寧に対応していただき感謝しています。てっきり家は大勢の人で建てると思っていたところ、実際の工事現場を見ると大工さんが一人で作業をしている日も多くて驚きました。そんな大工さんも忙しい中でも気さくに話をしてくれたのが印象的です。

まだ完全に馴染んではいませんが、自分の思った通りに好きに出来る家なので気持ち的にもゆったりとできます。間取りも使いやすくて動線もスムーズなので子育てがしやすいと感じています。また、ガス乾燥機や食洗機といった設備面も機能的で大いに活躍しています。洗面台の自動水栓は周りに水が飛び散らないため汚れにくく、ちょっとした洗い物にも便利。家事の時短になっています。こだわった分だけどこも愛着があるのですが、特に玄関前の名栗加工の床板は足触りが良く、遊びに来た人からも好評。両親も「木の香りがしていいね」と喜んでくれています。広いリビングの窓から、神社の森を借景にした庭や、気ままに横切る野良猫の姿や昆虫などを子どもと眺めながらのんびり寛いでいます。

ちなみに、焼杉の黒い外観はインパクトがあるようで、「こんな外壁は初めて見た」「カッコいいね」「オシャレ」と友人や近所の人たちから褒められました。屋根が駐車場までかかっているため、8月の豪雨の際も濡れずに家に入ることができ、本当に助かりました。

すべてお任せだった主人が唯一心配していたのが雨水の排水処理でしたが、それも今のところ問題なしです。

無垢床はもう子ども達が汚していますが、それも家族の思い出として将来は良い味になっていくと思います。リビングに広いスペースが出来たので、しばらく中断していたヨガを再開できたらいいですね。そしてコロナが落ち着いたら、友達や家族を呼んで庭でバーベキューをするなど大勢で楽しく過ごしたいと思います。

家の相場というものがよく分からないので、一つひとつが高いのか安いのかが分からずに悩みました。最終的には予算をオーバーしてしまい、それに対しては後悔はしていませんが、時々家づくりを振り返ると、もっと探せばコストカットも出来たんだろうな、みんなは上手いことやっているんだろうなと思ったりもします。

経験者から言えることは、多分すごく難しいと思いますが、最初の予算計画をしっかり立てることです。ここまでしか出せないという区切りをきっちりと決めて、その範囲内で納得すること。欲しいものを追求していけば本当にきりがありませんからね。

ありがとうございました。