- 一般社団法人 日本住宅リフォーム産業協会(ジェルコ)リフォームデザインコンテスト 2011九州支部
- 優秀賞「ワンルーム感覚の快適なリビングダイニング」
施工情報(熊本市M様邸)
構造 | 木造2階建て |
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工事床面積 | 135㎡(40.9坪) |
築年数 | 60年 |
家族構成 | 夫婦+父 |
設計のポイント
私達が古い民家のリフォームを考えるとき、2つの方向があると思います。1つは昔のものにこだわらず、全く新しい現代住宅として再生すること。もう1つは土間や構造体を積極的にインテリアに採りいれて、「新しい民家」として再生することです。
今回の計画は60年前に建てられた民家で、主要な「座敷」は、お父様の生活部分として保存し、他の部分を後者の方法で改修することがご希望でした。従って、キッチンや浴室等の便利な住宅設備の利用、居間・食堂等の現代的な生活スタイルを充分に満足しながら、使い込まれた大黒柱や太くて大きな梁、あるいは欄間や建具の工芸的な美しさを利用して、今ではそう簡単に出来ない贅沢なインテリア空間を作り上げることが最大のテーマでした。
ご主人の育った御実家の思い出や懐かしさとともに、架構の持つ力強さや建具の繊細さを豊かに感じながら、住んでいただけたらと願っています。
退職を機に、埼玉県からご夫婦で帰郷したM様。ご主人のお父様と同居するにあたり、築60年のご実家をリフォームしました。今回は水回り、リビング、寝室、和室1部屋、玄関土間部分の改修でした。
お客様の声
リフォームの動機を教えてください
仕事の関係でずっと東京近辺にいましたが、夫婦共に同郷の熊本ということから、私も長男だったため、いずれは地元に帰りたいと思っていました。具体的にいつ帰る、というのは決まっていませんでしたが、高齢の父親が昨年、圧迫骨折で倒れたのが大きなきっかけで、帰郷を決意しました。
と言っても、実家は昔ながらの農家の造りで、築60年の古民家。洗濯機は戸外にあり、風呂も狭く、土間があって、トイレは遠いうえ、冬はとても寒く、これではとてもじゃないけど暮らせません。これまで埼玉で便利なマンション暮らしをしていたので、それは特に感じていました。
数年前、まず家の建て替えを考えたんですが、それは父がどうしてもダメだと。長年住んできて、思い入れも強くなっているようで、それを取り壊すのは出来ないと言うんです。それで、やむなく実家とは別の所に戸建ての家を新築しました。そのようなことから、今回は費用をできるだけ抑えて、最低限のところだけ直して、何とか暮らせるようにしようということになったんです。
リフォーム会社はどうやって探しましたか?
いざリフォームをする、となっても、やったことがないから正直、全く分からないんです。どうやって手続きをして良いものかも分からない。当時はまだ埼玉にいましたから、とりあえずネットで調べて良さそうな業者を3社に絞りました。そして、土間を削るなど大まかなイメージだけ伝えて、それぞれに提案をしてもらいました。妻が父の世話をするため戸建ての住居を拠点に毎月帰省しており、打ち合わせは直接できたこともあり、イメージは十分に伝えられたと思います。
その中で三友さんを選んだのは、私たちのイメージを丁寧に聞いて、そこからかけ離れない範囲での最良な提案をしてくれたためです。図面も丁寧で、きちんとしていました。それで、もう十分に信頼できたんですが、そうなると多分、料金も高いんだろうなと思い、逆に心配になったのも事実。でも、見積もりを出してもらうと他社とほとんど変わらなかったし、その後、いろいろな変更があっても金額が変わることなく、安心してお願いすることが出来ました。専門的な技術面だけでなく、人との接し方も良いし、金銭面もしっかりしているなという印象です。
リフォームに際してどんな要望がありましたか?
高齢の父のために段差をなくしたり、スロープや手摺りを付けたりといった介護設備の導入は外せない条件でした。
でも、一番の希望はやはり、長年、都会の便利なマンション暮らしをしてきたので、そのイメージからかけ離れない暮らしをしたいということです。だから、リフォームの最大の要望としては、マンションの機能性を持つ近代的な住まい。冬に寒くないように断熱材を入れて、床はもちろんフローリングでとお願いしました。でも、そう言いながらも正直、そんなのは無理だろうな、と思っていたんです。
私たちは風呂やトイレはそこにあって、ただキレイになるのがリフォームだというイメージでしたし、そういう提案をしてきた業者さんもいました。
だから、対面式キッチンが良いと言いながらも、本当に出来るなんて思ってもみなかったんです。それが、さらっと「出来ますよ」と言って、すぐに図面に起こしてくれて。玄関土間を半分に縮小して残りをリビングに充てたり、風呂もトイレもごっそり違う場所に移動して。三友さんのリフォームは、あるものを単にキレイにするだけでなく、より快適に、便利に生活できるための、暮らし方のリフォームですね。そして、これなら私たちの要望通りの住まいが出来るだろうと確信しました。
工事中の対応はいかがでしたか?
三友さんの考え方は柔軟で、その発想もユニークでしたね。きちんとしているんですが、技術に裏打ちされた経験から生まれる面白さ、と言うんでしょうか。例えば、キッチンの上に大きな小屋組があったんですが、それを隠さずに見せて吹き抜けにしたり、リビングの丸窓やデザイン化した柱、ニッチなども三友さんからの提案です。平屋の農家に吹き抜けが出来るなんて、思ってもいませんでした。とにかく直接、設計士さんとやり取りが出来たので、何でも対応が早かったし、一つの質問に対して、いつも2、3の提案が返ってきたのも選択肢が広がって良かったですね。
リフォーム後の住まいはいかがですか?
昔の家を知っている人が見たら、本当に驚くでしょうね。全く違いますから。住み心地も、格段と良くなりました。でも、天井の梁や建具など、昔の家の面影もちゃんと残っているんですよ。
実は、欄間や障子戸などの建具も、最初は捨てるつもりだったんです。全部、新しいものにしてくれと。でも、三友さんが使いましょうと言って、全部キレイに洗って再生してくれたんです。そうしたら、今まではただ古臭いものとしか映らなかったものが、改めてその価値と言うか、良さが見えてきたんですね。新しいものばかりでなく、こういう昔からの日本的な伝統を大事にしていかなくてはいけないなと思えるようになりました。しかも、近代的なデザインに不思議と似合って、かえって和風モダンな良い感じになりました。これならきっと、父も気に入ってくれることでしょう。